リポーター「肌寒い季節が続いている中、生田原(いくたはら)町では、83歳にもなったおじいちゃんが、からくり人形を使って北海道の農耕の歴史を再現しているとのことで、わたくしやってまいりました」
リポーター「中に入ってみます・・・あ、なんだか、随分と、古い感じの家屋です。あ~!見てください!たくさん人形がありますね~!一体どんなおじいちゃんが作ったんでしょうか」
おじいちゃん「お?ええんか?出て、ええんか?」
リポーター「あ、こちらが、このからくり人形の作者、小股脇三郎さんです。よろしくお願いします」
おじいちゃん神妙そうにうなずく。
おじいちゃん「うん・・・うん・・・ん~」
リポーター「こちらの、クワを持った人形ですが、動かしながら説明していただけますか?」
おじいちゃん「まっとれ、まっとれ」
おじいちゃん、座席に座り、車のハンドルらしき下にある鍵の差込口を回す。
リポーター「あ!動き出しまし!・・・ん?あ、これは・・・ちょっと、早すぎて、早すぎますね」
ターボ音とともに人形が高速で動いている。
おじいちゃん「うんうん。エンジンをな、V6からな、V8に変えたからな。うん、うん」
リポーター「あの・・・これは・・・早すぎて、何が起こっているのか、わからないんですけど・・・あ、なんか飛びましたよ?あ、これ・・・クワ・・・く、くわが飛んできましたけど・・・手だけ、あの・・・高速で振られてますけど・・・あ、あの、では、あの、次の・・・次は・・・石臼で、きなこを作っているやつで・・・あ、これも・・・あああ・・・はや・・・早すぎますね・・・あの・・・凄い・・・首がガクガクいって・・・あ、首が・・・飛んできました。首がもげてもまだやってます・・・」
おじいちゃん「凄いな・・・やっぱV8は凄いな・・・うん、うん」
リポーター「おじいちゃん、これじゃあ、歴史が表現できないと思うんですけど・・・」
おじいちゃん「北海道の歴史を作ってきた先人は、みんな死んだってことじゃの」
リポーター「うまく、まとまったような、まとまってないような。ありがとうございました。以上、生田原町からでした」