上司「最近のさあ、若いやつってさあ、どうしてこうもできないやつばっかなのかねえ」
部下「そうっすよね」
上司「こっちが言う前にやれっての。だよな。以心伝心。大事だよな。ツーといったらカーだ。空気読めだよな。空気読め。KYっての?KYだってな」
部下「そうっすよね」
上司「お、わかる?お前はその点よくできるよな。俺も将来を期待しているんだよ」
部下「ありがとうございます」
おもむろにタバコに火をつける上司。
部下「あ、ここ禁煙っすよ?」
上司「うるさいこというなよ。ちょっと先っぽだけ吸ってすぐ終わるから。ほら、携帯灰皿もあるし。先っぽだけだから。ね?ね?ね?」
部下「はい…」
部署に入ってくるほかの部下。
部下2「ちぃーす」
上司「おう、なんだよその挨拶は。挨拶じゃねえだろそれはよー!これだから仕事ができねえんだよ!挨拶ぐらいきちんとしろよ!」
部下2「あ、はいすんません。おはようございます」
上司「おう」
部下2「…あ、ここ禁煙っすよ?」
上司「お前もタバコ吸うだろ。迷惑かけてないからいいだろ。すぐ消すから。な、俺ってニコチンないと死んじゃうから。死んじゃう。うー」
一同、早く死ねと頭に浮かぶ。
上司「あ、そうだ。これからは効率化を図らないとな。部署統合して人員削減すれば人件費も削減できるし利益上がるな」
部下「え?いや、手が回らなくなるだけだと」
上司「お前は経営ってやつがわかってないな。鍛えられて人間育つんだよ。試練を乗り越えてこそ会社も育つってもんだ」
部下「あ、そうっすよね。それはその通りです」
上司「そうだろ?改革なくして成長なしって偉い人も言ってたろ。俺も見習わないとな」
この上司が来てから経営が傾きだしていることは誰も言わない。
ようやく退社時間。精神力を吸い取られた部下。
帰宅途中、本屋の雑誌でサラリーマン川柳公募を部下は見つける。
部下「へー大賞100万円か。太っ腹だな。送ってみるか」
半年後。
部下の作品、佳作に選ばれる。
「部下叱る できない上司 天下り」(できる腰巾着)