パソコン画面の中のウィンドウが反応する。

メッセンジャーのチャットログに編集者中島丸子のメッセージが流れ込んでくる。

丸子よりのメッセージ(今日:14:23):先生。締切りは一週間を切りましたが原稿の進み具合いかがでしょうか。

だが作業をしていて返信できない。

丸子よりのメッセージ(今日:14:25):先生。メッセージが届いているのはわかっているんです。居留守使わないでください。

天才隼次郎よりのメッセージ(今日:14:36):今頑張っているぜ!

丸子よりのメッセージ(今日:14:37):ビデオチャットしますけどかけますよ?

天才隼次郎よりのメッセージ(今日:14:52):今裸だから無理

丸子よりのメッセージ(今日:14:53):もう別に裸でもいいです。私気にしないんで。

今回の編集者は手強い。
食いついてくるし、少々のことではひるまない。
本当に裸でも「服着てください。目障りなんで」と容赦ない。
メッセンジャー通話がかかってきている。
ビデオチャットなのは本当に原稿を執筆しているか監視するためだ。
しかたなく出る。

丸子「先生。元気そうでよかったです。それと映ってから脱ぎだすのやめてください」

隼次郎「いつもは遊んでいるくせに締切り間近になると厳しくなるなんて、なんて怠慢な編集者だ」

丸子「締切り間近にならないと書き出さない作家はどこの誰ですか」

隼次郎「私は天才だからいいんだ!」

丸子「そのわりには締切り守らなかったり、私に泣きながら間に合わないよー!って叫ぶときもたくさんありますね」

隼次郎「いいんじゃない? たーまーにーはっ。そういうしょうがないことも」

丸子「いきなりキャラ変えるの止めてください。それとさっきからマウスしか動かしてませんよね」

隼次郎「えっと、見直してるから」

丸子「そのわりにはクリックがめちゃくちゃ多いんですけど」

隼次郎「えっと、一秒間十六連射で原稿がよくなる!」

丸子「私プレステ2からしかやったことないので、詳しくないです。わからないネタふらないでください」

隼次郎「けっ、ゆとりが」

丸子「いつもゆとりがなくて泣くのは先生の方じゃないですか」

隼次郎「今やってるもーん! 今やってんだもーん! 邪魔しないでよね!」

丸子「そういえば新しい超大作オンラインRPG出ましたよね」

隼次郎「へっ、へー、そうなんだ。あっ、くそっ、横取りしやがって!」

丸子「何の話ですか?」

隼次郎「えっと、脇役の沙奈枝が彼女から主人公を横取りしそうな雰囲気で」

丸子「沙奈枝大人しかったのに、いきなり大胆展開ですか。沙奈枝で思いだしましたがサナトエール倒すとオリハルコン出るみたいですよ」

隼次郎「本当!? 今討伐パーティー募集しているから参加しようかな。……あっ!」

丸子「先生! 原稿仕上げてください!」




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